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第16回定期演奏会 曲目解説

ビゼー/歌劇「カルメン」全4幕抜粋<演奏会形式 日本語上演>

第一幕
1. 前奏曲 単独でも演奏会で取り上げられる有名な前奏曲です。第四幕の闘牛士の入場のテーマで始まり、第二幕の闘牛士の唄が堂々と演奏されます。演奏会で取 り上げられる時は再度闘牛士の入場の曲が演奏されて終わりますが、オペラ版では最後に「運命の動機」が流れ不吉に終わります。この「運命の動機」はオペラ 全体を支配する重要な旋律です。
2. 衛兵の交代 衛兵が交代する時に演奏される曲です。兵隊のラッパが鳴り、木管楽器を中心に行進曲を奏でます。曲は遠くから近づいてくる様子を楽器の数と音量を変化させて表現しています。オペラでは児童合唱が入りますが本日は管弦楽のみの組曲版で演奏します。
3. 女工達の合唱 タバコ工場の女工達が恋の甘い言葉、愛や誓いをタバコの煙になぞらえて歌います。八分の六拍子のゆったりとしたテンポと波打つようなテーマがたなびく煙の様子を表しています。曲の最後に「運命の動機」に乗ってカルメンが登場します。
4. ハバネラ チェロの奏でるハバネラのリズムに乗ってカルメンがホセを誘惑する歌を歌います。ハバネラはもともとはキューバのゆっくりとした二拍子の民族舞曲ですがスペインに輸入され人気を得ました。
5. 二重唱 セヴィリアで再会したホセとミカエラが故郷の村、故郷の母親を想って美しい二重唱を歌います。
6. シャンソンとメロドラマ 騒ぎを起こし捕らえられたカルメンをスニーガが尋問するときにカルメンが歌う曲です。弦楽器ソロが伴奏をします。

7. セギディリヤと二重唱 カルメンがホセをリーリャス・パスティアの酒場に行こうと誘う歌です。セギディリヤはスペイン・アンダルシア地方の快活な3拍子を特徴とした民族舞曲です。
8. フィナーレ 弦楽器の奏でるフーガに乗って、カルメンが護送役を命ぜられたホセに自分を逃がすように囁きます。ハバネラのテーマとその変奏が演奏されたあと、混乱に紛れてカルメンが逃げる様子をテンポの速い曲が表します。

第二幕
9. 間奏曲 「竜騎兵の唄」の素朴なテーマを最初はバスーン、次いでクラリネットが弦楽器のピチカートに乗って奏でます。
10. ジプシーの唄 ハープと弦楽器のピチカートの伴奏に乗って、フルートがエキゾチックなメロディーを奏でたあとカルメンが歌います。次第にテンポが増し音量も増え、大興奮のうちに曲は終わります。
11. 闘牛士の唄 闘牛士エスカミーリョが自らの武勇を勇壮に歌う有名な曲です。中間部では前奏曲に出てきた闘牛士のテーマが合唱も加わって壮大に演奏されます。
12. シャンソン ホセが竜騎兵の唄をオーケストラの伴奏なしで歌いながら登場します。
13. 二重唱(花の歌) カルメンがカスタネットを叩きながら踊っていると帰営ラッパが近づいてきます。カルメンが兵舎に戻ろうとするホセにイライラし怒りをぶ つける様子は木管楽器の短い音と弦楽器の半音のトリルで表現されます。「運命の動機」がコール・アングレで短く奏でられたあと、ホセがカルメンに対する思 いを歌います。繰り返される転調がホセの心の高まりを表しています。

第三幕
14. 間奏曲 ハープの伴奏に乗ってフルートが美しい旋律を奏でます。第三幕の暗い内容とは対称的な非常に美しいメロディーで、嵐の前の静けさのようです。
15. 密輸入者の行進 密輸入者の労働歌です。オペラでは合唱によって歌われますが、本日は管弦楽のみの組曲版で演奏します。
16. アリア(ミカエラのアリア) ホルンの奏でる短い序奏のあとチェロの16分音符の流れるような伴奏に乗って、ミカエラがホセをカルメンから取り戻す決意を歌うとても美しいアリアです。
17. 二重唱 ホセとエスカミーリョが出会い、カルメンをかけて決闘する様子を激しい音楽で表現しています。
18. フィナーレ カルメンに決闘を止められたエスカミーリョはクラリネットとバスーン、ヴィオラとチェロの奏でる闘牛士のテーマに乗って去って行きます。

第四幕
19. 間奏曲 アラゴネーズというスペイン北部アラゴン地方の舞曲です。打楽器の加わったリズミカルな前奏に続いて、オーボエがむせび泣くようなメロディーを奏でます。
20. 行進と合唱 前奏曲に出てきた有名な闘牛士の入場のテーマをバスーンが奏で次第に楽器が増え、最後には合唱が加わり、エスカミーリョの入場で曲は最高潮に達します。
21. 二重唱とフィナーレ 闘牛場前の広場でホセとカルメンが出会います。闘牛場の中で群衆がエスカミーリョの活躍を応援する様子を金管楽器奏者と合唱が舞台裏で演奏します。「運命の動機」が繰り返し演奏され悲劇の結末に向かいます。

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